学習記録

方向性電磁鋼板に関する特許を読んで

今回は方向性電磁鋼板に関する特許を読んでみました。

方向性電磁鋼板って?

何やら聞き慣れない言葉だったので早速検索してみると、今回読んだ特許の出願人でもあるJFEスチール株式会社のサイトにたどり着きました。

 

電磁鋼板には、「方向性電磁鋼板」と「無方向性電磁鋼板」があり、用途により使い分けられています。

●方向性電磁鋼板
一方向(圧延方向)にのみ極めて優れた磁気特性を有する鋼板であり、主に変圧器に使用されています。

●無方向性電磁鋼板
全方向に平均的に優れた磁気特性を有する鋼板であり、主にモーターに使用されています。

引用元:JFEスチール株式会社

なるほど、「方向性電磁鋼板」は電磁鋼板の1種で、主に変圧器で使用される材料なのですね。電磁鋼板にはもう1種類「無方向性電磁鋼板」があるようです。こちらは主にモーターの材料として使用されているのですね。名前から分かるように両者の違いは「磁気特性の方向性が異なる」という点です。

特許の内容

特許を読んで、自分なりに理解した内容をまとめました。

公開番号 特開2018-100922
出願人 JFEスチール株式会社
発明の名称 酸化物量測定方法、方向性電磁鋼板の一次再結晶焼鈍方法、および方向性電磁鋼板の製造方法
従来の課題 方向性電磁鋼板の下地被膜の品質は、一次再結晶焼鈍後に形成される酸化物量の影響を大きく受ける。酸化物の量が適正でないと下地被膜が剥離する等の欠陥が起きる。

従来の酸化物量の測定方法での3つの問題点

  • 装置が大きいため製造ラインに設置するのが困難である。
  • 装置が高価である。
  • ガス化赤外線吸光分析法は破壊分析のため、連続的に測定することが難しい。
解決方法
  1. オンラインで赤外線分光法を用いて鋼板表面の水由来のピーク強度を測定する。
  2. 予め求めておいた酸化物量との相関関係により鋼板表面に形成される酸化物量を求める。
  3. 必要に応じ一次結晶焼鈍条件を変化させる。
本発明を使用するメリット
  • 精度が良い。
  • 安価である。
  • 容易にオンラインで分析できる。
  • 酸化物量のばらつきが少ない。
  • 表面の被膜が剥離しない。

解決方法のポイントは「赤外線分光法を使用し水由来のピーク強度を測定すること」だと思います。ピーク強度が増えると酸化物量が増える、つまり両者は比例の関係だといえます。

そのため赤外線分光法で測定したピーク強度から酸化物量が求められ、もし目標とする酸化物量からずれている場合は熱処理工程の条件を調整すれば良いのですね。

焼鈍とは?

この特許には名称にも含まれている「一次再結晶焼鈍」の他、「平坦化焼鈍」、「熱延板焼鈍」、「中間焼鈍」等、様々な焼鈍が出てきます。

そこで焼鈍について調べてみると、以下の図が出てきました。

 

個人的によく混同する「焼入れ」が「硬質化」することを目的とするのに対し、「焼鈍」では「内部応力の除去」や「組織の軟化」を目的としているのですね。

ちなみに焼鈍は「やきなまし」の他に「しょうどん」という読み方もあるようです。

終わりに

簡単ですが、理解できた内容についてまとめてみました。

今回の特許は「再結晶」から検索して見つけたものなのですが、実際に読んでみると変圧器の材料である「電磁鋼板」や、機械部品の熱処理工程である「焼鈍」等、内容が様々な分野に及んでいると感じました。

いつも管理人さんが仰るように、単に「化学」「電気」「機械」等一部の知識では足りず、ハイブリッド案件が主流とはまさにこのことだと感じました。

今はまだまだ特許1件読むのに時間はかかる上、深く理解するには及んでいない状況で、こんなので翻訳できるのか心配になったりもするのですが、件数を重ねて少しずつでも早く深く読めるようになっていきたいと思います。

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