学習記録

TOTOの特許明細書を読んで

前回は電池の特許を読んだので、今回は「電気分解+トイレ」で検索しダウンロードしていた特許を2件読みました。岡野の化学のビデオセミナーでも出てきたので、読んだ方も多いかと思います。

とはいえ、私が選んだ特許を実際に読んでみると、電気分解が主な内容ではありませんでした。また、同じ会社の同じ名称の特許なので関連性があるのかと思っていたのですが、異なる点を課題としており解決方法も当然違っていました。

それでは、2件の特許の具体的な内容についてご紹介したいと思います。

衛生洗浄装置

2件とも発明の名称は「衛生洗浄装置」でした。これがトイレのどの部分を指すのか、初めはいまいちピンと来なかったのですが、下図全体を「衛生洗浄装置」と呼ぶようです。

特開2019-173272 図2

1件目(特開2019-173272)

公開番号 特開2019-173272
出願人 TOTO株式会社
発明の名称 衛生洗浄装置
従来の課題 従来の衛生洗浄装置は、通風路において脱臭フィルタが上下方向に空気を通過させるため、通風路を流れる空気が脱臭フィルタを通過する場合はクランク状に流れるなど、空気の流れる向きについて制約を受けることがあり、設計自由度が低いものであった。
解決方法 下記を有する構造にする。

  • トイレルーム内の空気を吸引する送風部
  • 送風部によって吸引された空気が流れる通風路
  • 通風路に設けられ該通風路を流れる空気を通過させる脱臭フィルタ
  • 複数の粒状のフィルタ素子
  • 複数のフィルタ素子を収容するケース

このような構造にすると、脱臭フィルタを空気が通過する場合に、複数のフィルタ素子の隙間を空気が流れるため、空気が種々の方向に通過可能となる。これにより、設計自由度を高めることができる

「脱臭フィルタ」って?

この特許のポイントとなる「脱臭フィルタ」については、特許中に下記の説明があります。

従来、トイレルーム内の空気を吸引して通風路に送り、通風路において脱臭フィルタを
通過させることで臭気を吸収または分解する衛生洗浄装置が知られている。このような衛生洗浄装置には、たとえば、孔が上下方向に延びたハニカム構造を有し、上下方向に空気
を通過させる脱臭フィルタを備えるものがある(たとえば、特許文献1 参照)。

つまり、名称からも推測できる通り、衛生洗浄装置内にあり、トイレルーム内の臭気を吸収したり分解するためのものなのですね。

改善前と改善後の違い

その脱臭フィルタをどう改善したかについては、図を見た方が分かりやすいかと思います。

特開2019-173272 図6A、図6B

(汚い字ですみません。)図の左側が改善後、右側が改善前の構造で、青矢印が空気の流れを表します。左側は空気がほぼ直線状にスムーズに排気されているのに対し、右側は2回も屈曲しています。このように空気の流れる向きが制約を受けない構造にすることで、設計自由度を高めることができるそうです。

2件目(特開2019-60231)

公開番号 特開2019-60231
出願人 TOTO株式会社
発明の名称 衛生洗浄装置
従来の課題
  1. ノズルを進出させてプレ洗浄を行うことが困難であるため、ボウル部の前方側に洗浄水が届き難いという問題がある。
  2. プレ洗浄用のノズルがボウル部の後方中央から側方にずれた位置に配置されるため、プレ洗浄用のノズルが配置される側と反対側の側方に洗浄水が届き難いという問題がある。
解決方法 洗浄ノズルを進出した状態で行う「進出プレ洗浄」と収納した状態で行う「収納プレ洗浄」を行える構造にする。
効果 「進出プレ洗浄」を行うことで、ボウル部の広い範囲を濡らすことができ、汚れの付着をより効果的に防ぐことができる

「プレ洗浄」って?

この特許のポイントとなる「プレ洗浄」について、特許中に下記の説明があります。

従来、便器のボウル部に汚物が付着することを抑制するため、使用者が便器を使用する
前に、便器のボウル部を洗浄水で濡らすプレ洗浄技術が知られている。

残念ながら我が家は築30年以上経つ賃貸アパートで備え付けのトイレ設備も古く、ウォシュレットが作動しないことも度々あるくらいです。(ちょっと汚い話ですが、用を足した後ボタンを押し、「ああ、今日はウォシュレット出てこなかったな」ということがよくあるのです。)

そんな状況なので、当然プレ洗浄の機能はありませんでしたが、新しいトイレですと確かにトイレ使用後に水が出てくる音がしますよね。(皆さんのご自宅もきっとそうではないでしょうか。)あれがプレ洗浄なのですね。

「ボウル部」とは?

次に、便器の部位「ボウル部」については、図を参照した方が分かりやすいかと思います。

特開2019-060231 図1

 

この図の11、つまり便器内部が「ボウル部」です。

内容をまとめると…

この特許の内容を簡単にまとめると、従来はノズルを収納したまま行っていたプレ洗浄を、ノズルを進出して行える構造にすることで、ボウル部の広い範囲を濡らすことができ、汚れの付着をより効果的に防ぐことができるようになったのですね。

感想

前回図を参照したら特許の内容が理解しやすいというのに気付き、(恥ずかしながら、今まであまり意識していませんでした。)今回もなるべく図を見ながら読むことに意識してみました。本文と図を何度も行き来すると、その分時間はかかりますが、おかげで全体的な内容を把握できたように思います。

今回の内容はトイレという身近なアイテムだったため、部位や機能等想像しやすいものが多い反面、普段目にすることのない内部構造(例えば、脱臭フィルタ)等、想像しにくいものもありました。ですが、「そんな風になっていたのか!」と興味深く読み進めることができました。これも身近なアイテムだからこそだと思います。

やはり普段から関わりの多いものの方が興味を持って楽しく勉強できるので、そういう分野を得意分野にできたらいいのかな、と思いました。

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