今回は気分転換のためと、先日勉強したばかりの「摩擦力」の理解を深めるために、物理関連の特許を読んでみました。
今回ご紹介する2件はどちらも「動摩擦 静止摩擦」で検索して見つけたものです。
動摩擦力と静止摩擦力をざっと復習
記憶が新しいうちに復習してみます。
静止摩擦力 | 物体が静止した状態での摩擦力。 |
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最大静止摩擦力 | 物体が面を滑り出す直前の摩擦力。 |
動摩擦力 | 物体が面を滑り出してからの摩擦力。 |
グラフで表すと次のようになるんでしたね。

出典:http://www.catvy.ne.jp/~t_sato/test/tls2/science/2_s_phy1.html
読んだ特許明細書について
1件目(清掃用ウェットシート)
国際公開番号 | WO2018/079823 |
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出願人 | 大王製紙株式会社 |
発明の名称 | 清掃用ウェットシートおよび清掃用ウェットシートの製造方法 |
従来の課題 |
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解決方法 | 静止摩擦抵抗値が動摩擦抵抗値よりも小さくなる構造にする。これにより、拭く際の初動に大きな負荷が必要なく、薬液の過剰放出が抑制できる。 |
本発明の構造 | 本発明品は下記を有する。
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摩擦抵抗
この特許には「静止摩擦抵抗」、「動摩擦抵抗」といった言葉が出てくるので調べてみると、摩擦抵抗=摩擦力と考えて良いようですね。
摩擦とは物体の動きに逆らうように働く力のことです。
床の上に置いてある荷物を図に示す方向に押すと、荷物と床の接触面に 摩擦力(摩擦抵抗) が発生します。(後略)
出典:ものづくりウェブ
2件目(防滑靴)
国際公開番号 | WO2017/126192 |
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出願人 | 日進ゴム株式会社 |
発明の名称 | 靴底及び靴並びに滑り止め部材 |
従来の課題 | これまでの耐滑性靴底は、歩行面を蹴り始めた瞬間等、踏ん張り始めた直後に摩擦力が瞬間的にピークに達し、その後は、摩擦力が急激に低下するため、必ずしも優れた耐滑性を発揮できるものとは言えなかった。 |
解決方法 | 氷面に対する動摩擦係数が氷面に対する最大静止摩擦係数よりも大きくなるような構造にする。 |
本発明のメリット | 踏ん張り始めた直後だけでなく、その後も踏ん張りを持続することができ、優れた耐滑性を発揮できる。 |
イメージ図を描いてみた
橋元の物理のビデオセミナーでは、管理人さんが「図やグラフを描くことの大切さ」を再三説かれています。そこで2件目に関しては自分なりにイメージ図を描いてみました。
普段、ビデオセミナーで管理人さんの描いた図を見ながら描くのも難しいと感じることがあり、時々失敗して描き直すことがあるのですが、自分で一から描くのは更に難しい!と感じました。というか、あっている自信もないのですが、恥を覚悟で晒してみます。
1件目と2件目の比較
そもそもアイテムが全く違うので、比較するのはちょっと違うかな…と思っていたのですが、1つだけ気付いたことがあったので記録しておきます。
今回の特許の検索ワードである「動摩擦 静止摩擦」に着眼すると、
1件目は静止摩擦抵抗値<動摩擦抵抗値となる構造に、
2件目は最大静止摩擦係数>動摩擦係数となる構造
にすることで、それぞれ問題を解決していますね。
背景も問題も全く違うので比較できませんが、ちょうど真逆の方法を使っているので面白いと思いました。