先週の学習内容を記録します。
先週の学習記録(10/4-10/10)
- 特許の読み方を検討
- 学習用の特許を選定
- 特許精読
先月末でようやく『はじめての半導体製造装置』での学習が終わり、特許を読み始めました。
書籍での学習中も、特許を部分的に読んで参考にすることはありましたが、時間をかけて半導体分野の特許を精読するのは今回が初めてです。
まずは特許精読の方法を検討するところから始めました。
特許の読み方を検討
具体的には、ビデオセミナーNo.3951を視聴して参考にしました。
ビデオセミナーでの管理人さんのアドバイスを簡単にまとめると、特許での学習方法は下記の3段階に分けられると理解しました。
第1段階(今ココ) | 特許を日本語で読む
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第2段階 | 対訳学習
対訳がある特許を使い、1文ずつ区切りながら学習する。 |
第3段階 | 自力翻訳
まずは類似特許を読み、用語集も作成してから特許を翻訳する。 |
今の段階ではまず日本語で読んで理解することが最優先だと思ったので、特許を1件選んで精読しました。
学習用の特許を選定
選んだのは、東京エレクトロン社の『エッチング方法及び装置(特許第6033785号)』です。これは「リソグラフィ」や「エッチング」などの半導体に関するキーワードで検索して見つけたものです。
特許精読
上記にも書いたように、ノートや知子の情報を活用して分からない用語や定義を調べながら読みました。
また、今回の特許を読むにあたり、下記の本も購入しました。
特許の概要
ダブルパターニングを行う際に、酸化シリコン膜の窒化シリコン膜に対する選択比を高くして窒化シリコン膜に窪みが発生するのを抑える必要がある。ところが、酸化シリコンの方が窒化シリコンよりも結合エネルギーが高いため、化学的な手段での解決が必要となる。
本発明では、酸化シリコン膜の窒化シリコン膜に対する選択比を高くする方法を提供する。
「選択比」とは、エッチングでの除去のしやすさの比率のことですね。
例えば「膜Aの膜Bに対する選択比」は、「膜Aのエッチング速度/膜Bのエッチング速度」の式から得られる数値で表します。
もし「膜Aのエッチング速度=5、膜Bのエッチング速度=1」とすると、膜Aの方が5倍早く除去され、この場合の選択比は5/1=5となります。
この特許には「酸化シリコン膜の窒化シリコン膜に対する選択比が1以上であれば問題ない」と書かれていますので、「少なくとも酸化シリコン膜と窒化シリコン膜のエッチング速度が同じであれ良い」という風に理解できます。
- エッチングにプラズマ励起用ガス、CHF3ガス、O2ガスを使用する。
- プラズマ励起用ガスに対するCHF3の流量比を1/15以上にする。
- CHF3に対するO2ガスの流量比を1/10以下にする。
CHF3ガスが解離すると、フッ素はエッチングに寄与し、炭素は窒化シリコン膜に堆積してエッチング速度を遅くします。こうすることで、酸化シリコン膜の窒化シリコン膜に対する選択比を高くすることができるのですね。
CHF3の流量比が多すぎると、解離によって生成されるフッ素の量が増えてエッチング速度が速くなりすぎるので、「流量比を1/15以上にする」必要があります。
また、この特許に出てくるエッチング装置には「ラジアルラインスロットアンテナ」というものを使用してプラズマを励起しています。
「ラジアルライン=放射状」、「スロット=細長い穴」を表し、放射状に多数のスロットペアを開けた平面アンテナのことを表します。
ラジアルラインスロットアンテナを使って励起されたプラズマは、CHF3の解離状態を制御しやすく、つまり窒化シリコン膜に堆積する炭素の量を制御できるので、結果的に酸化シリコン膜の窒化シリコン膜に対する選択比を高くできるのですね。
感想
今回読んだ特許は、タイトルの「エッチング方法及び装置」だけ見ると「エッチング=不要な酸化膜を除去する工程=読みやすそう」と思うかもしれません。(実際そう思って甘く見ていました。)
ですが読み始めると、『はじめての半導体プロセス』や『はじめての半導体製造装置』で学習した内容の復習や、これらの書籍には出てこなかった言葉についても理解する必要があり、調べてはまとめ…の繰り返しでした。
同じ講座受講生の方が見れば「まだこんな初歩的な学習をしているのか」と思われるかもしれません(汗)が、これが今の自分自身の実力なのだと実感しています。
まだまだ時間はかかりますが、今更焦っても仕方ないので、地道に学習を続けていこうと思います。
今後の予定
- 今回読んだ特許『エッチング方法及び装置』の台湾版を読む。
- 特許学習を第2段階、第3段階…へと進める。